商標を登録することで得られるメリットを一言で言うと、登録された商標に似ている商標があった場合、その商標の使用に関して差し止めなどを使用者に対して行うことができる点です。
商標登録をして商標権者になると、商品名やサービス名などに同じ商標を使用している人がいた場合、その商標の使用を差し止めることができます。それでも、商標の使用を続けている人がいれば、損害賠償を請求することが可能です。
また、逆に考えると商標登録をしていることで、他人からその商標の使用の差し止め請求を受けたり、損害賠償請求をされたりということが無くなります。
例えば、貴社が「ABCハウス」という喫茶店を始めたとします。その喫茶店のコーヒーが大評判となり、かなりの収益があります。そんなとき、貴社とは全く関係のないXYZという会社が「ABCハウス」という喫茶店を大々的に始めてしまいました。
せっかく貴社の努力により「ABCハウス」の人気が出たのに、客は貴社の店と勘違いしてXYZのお店に行ってしまい、貴社の「ABCハウス」はたちまち赤字に。
さらに、XYZの「ABCハウス」のコーヒーはとてもマズかったので、「ABCハウスはマズい」との評判が広まり、貴社の「ABCハウス」は閑古鳥が鳴くようになってしまいました。
もし貴社が事前に「ABCハウス」の商標登録を受けていれば、XYZは「ABCハウス」という店名で喫茶店を営業することができません。
仮に出店しても「ABCハウス」という店名の使用を差し止めることができます。
それでもXYZが喫茶店「ABCハウス」を営業し続ければ、貴社はXYZに損害賠償を請求することができます。
逆に、XYZが先に「ABCハウス」の商標登録を受けてしまった場合、貴社は、XYZから喫茶店名「ABCハウス」の使用差止や損害賠償を請求されるだけでなく、刑事罰を受けるおそれもあります。
しかし、貴社が先に商標登録を受けておけば、この事態を回避することができます。
社名を商品名に付けたり、社名でサービスを提供する場合は、会社名の商標登録が必要になります。
このようなケースで、他人に自社名の商標登録を許してしまうと、看板・広告・名刺・封筒・HPなど、
多くの印字物の変更を迫られることになり、被害が大きくなります。
その前に、会社名の商標登録を行いましょう。
会社法では、まったく同じ住所でない限り、同じ会社名がいくつでも登記できますが、
商標法で商標登録できる会社名は、日本全国で1社のみです。
ただし、あまりありふれた名前や、同じ会社名がすでにある場合、登録できないことがあります。